もしかしたらアレ

気付いたら闇の中。右往左往して出口を見つける。

自分の体を餌に釣りをする老人

どーも!id:sokokamoの妹こと新id:sokokamoですっ!

春は出会いの季節ってなわけで、今日は風変わりな老人と出会ったときのことを書くとしよう。

とある港のとある老人

老人はその昔、鯨に右足を喰われてしまったらしい。

右足を失っては漁には出られない。

収入は途絶え、妻と子供は去り、彼は独りとなった。

老人は右足だけでなく、人生をも奪っていった鯨に復讐を誓い、我が身を餌におびき寄せているのだと言う。

私が出会ったときには、左腕、左足を餌として使ってしまい、残っているのは右腕のみとなっていた。

その右腕もどうやら義手のようだ。

 

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餌が尽きたらどうするのか?

よくよく考えると、とんでもない質問だが、そのときの私は聞かずにはいられなかった。

老人はポケットから錠剤を取り出した。

どうやらその錠剤は強力な毒薬らしく、餌が無くなったら老人は服毒をし、海に飛び込むのだと笑顔で私に話した。

 

にわかには信じられない話である。

しかし、老人の穏やかだが力強さを宿した瞳から、彼が嘘をついているとは到底思えなかった。

 

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その後、私は老人とは会っていないが、鯨が浜に打ち上げられたというニュースが流される度にこの日のことを思い出す。